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フィールド・フロー スペシャル公開セッション「田口壮コーチ(オリックス・バファローズ) × 柘植陽一郎 ─ 2022~2023 日本一へのビクトリー・ロードを振り返る!そしてNEXT STAGEへ! ─」

先日開催されたスペシャル公開セッションの
全容を公開します。

レモン 今日は昨年に引き続き、なんと、田口壮コーチのお陰で、こういう学びの場を設けられました。有難うございます。早速ご登場いただきましょう。オリックス・バファローズ!日本一おめでとう!田口壮コーチで~す!(拍手)

田口 チコちゃんです(笑)

レモン 何でやねん!さすが元NHK解説者(笑)

田口 気に入って頂けました?

レモン ハイ!チコちゃん頂きました!(笑)今日は我々の師匠であるヨウさんこと柘植陽一郎さんに、どんどん進めて頂きましょう!

20230301.jpg

柘植 田口さんにとっても何か発見があった!っていう状態で終えられたらいいな。と思いますが、今日は、田口さんに話したいことをお聞きしてから始めるような、一般的なコーチングセッションではなく、コーチング的インタビューみたいな形でやらせて頂ければと思います。

レモン それでは、去年の振り返りをして頂きつつ、更に、今季に向けて何か整理ができたりしたらいいなと。ではここからは柘植さんにお任せしたいと思います。宜しくお願います!

目の前の一つを取りにいく

柘植 よろしくお願いします。では、田口さん早速ですけれども、はじめに個人的興味のところを伺ってもよろしいでしょうか。日本シリーズ、2敗1分けから、ひっくり返されたのですよね。そこからひっくり返せた理由、何がどんなふうに起きてたのか?最初に伺いたいのですが、どんなことが起きてたのですか?

(関連する質疑応答①)

田口 まず起きたのは「開き直り」です。

柘植 開き直り・・・というと?

田口 はい、試合をやってみて、ヤクルトというチーム自体はやっぱり強いね、っていう話になったんですよ。2敗1分けになって、もう2連敗すると、大阪で終わってしまうと。一つも勝てずにっていうことになった状況だったんですね。そんな話から、でもやっぱりまず1個取ろう。1個取って神宮に行こう!というところから始まりましたね。

柘植 そういう開き直りというのは、スタッフサイドですか?それとも選手も?全体?どんな感じなのでしょうか?

田口 2敗目した時にコーチルームで監督も含めて、「さあ!どうしよう!」っていう感じになってたんですよ。

柘植 開き直ったことで何が変わったのですか。

田口 監督には本当に目の前の一つを取りにいくイメージがありましたね。まずその次の試合。山岡が4戦目先発したんですけど、それを5回途中で代えてるんですね。たしか1−0で勝ったのかな。序盤の1点を守りにいったんですけど、5回のピンチを山岡ではなくて、一番力のあるピッチャーを持っていったんですよ。一番三振を取れるピッチャーをつぎ込んでいって、その場をしのいだんですよね。多分、もうそこをしのがなかったら、そのままズルズルいくっていうふうに監督は見たと思うんですよ。とにかくいいピッチャーをつぎ込んでいくっていうイメージでしたよね。で、そういうピッチャーの使い方を監督がされたんで、攻撃はもちろん何とか点を取ろうとするんです。守る方もどうにかして一点やらないようにっていうことだけは、ずっと考えましたね。

柘植 それは担当コーチとして、ということなのでしょうか。

田口 そうですね、はい。

柘植 ありがとうございます。この日本シリーズだけに注目するとしたら、ご自身でここはやっぱり自分として良かったんじゃないかなっていう。なかなか自分で言うのは言いづらいかもしれないですけど、ここの判断とか、ここの関わりとか。これ結構自分なりにちょっと工夫したとか、あとで自分にOK出せるものってどんなことがありましたか?

田口 日本シリーズですか?ん~~、えっと、しょうもないこと言っていいですか?全部終わった後に、ベンチの裏、僕、片付けて帰りました。そこが最大の貢献ですね。

柘植 え!それはいつもやっていることなんですか?

田口 普段は選手が絶対やるんですよ。そういう教育をしてるんで。綺麗にして帰ろう、っていうことでベンチの中は絶対綺麗にして、選手が、飲み残したペットボトルとか、ゴミとか全部綺麗にして帰るんですけど、さすがに日本シリーズ終わって、表彰式終わって、みんなお祝いモードでワーッてなってましたので。でも、それではあかんっていうところで、自分と何人かスタッフの人が手伝ってくれましたけど、片付けて帰ったのが一番の貢献ですね。

柘植 なるほど~素敵ですね。

【タイムライン】を使ってのコーチング

柘植ではここから昨シーズンを振り返るコーチング的インタビューをさせて頂きますでしょうか。1月から10月まで時系列でどんな感じだったのかっていうのを振り返るために、紙をちょっと横長に使っていただけるといいかと思うのですが、

(田口コーチ紙に書く)

1月から10月まで左から右に時間軸が流れていくような感じで、下のスペースを使いたいのでなるべく上の方にこんな形で書いていただけますか。で、ここに、上が+(プラス)で、下がー(マイナス)、真ん中0(ゼロ)っていう感じで、ずっと横に線を引いてたんですけど、ここに、二つ、なみ線を書いていただきたいなと思って。一つは、チームの状態を表す波線で、いい感じ、まぁぼちぼち、いや~あんまりよくないな。など、どんなふうに去年変化していったか?っていうのが一つ。それから、もう一つの方は、ほぼ連動してるかもしれないし、全然連動してないかもしれないのですが、田口さんご自身の状態がどんなふうに変化していったのか。もちろん毎日アップダウンみたいなのがあると描ききれないっていうのはあると思うのですが、ざっくりと、どんなふうに変化していったか?っていうのを見える化、グラフ化、していただけたらなと。感覚で結構ですので、キャンプ前の状態でもいいです。キャンプからオープン戦の開幕の前半、後半みたいな。なんとなくちょっと書いていただけますでしょうか?1~2分かけていただいて結構ですので。

(※ここで、1~2分ほど待ちます。)

「タフになった?」「入り方って?」

20230303.jpg田口 えっとおそらく・・・こんなイメージですね。上の青い線、僕です。(アップダウンなく、ほぼ真っすぐ横に書いている)下の赤い線はチームです。(多少のアップダウンがありつつ、徐々にアップしている線)

柘植 おーだいぶ違うのですね?チームは結構、下からぐっと上がっていった感じですか?

田口 そうですね。これ3月25日が開幕なんで、3月まではチームとしては、「さあ、どうしようか?」っていうとこでいろんなことをやりながらずっと0っていうところで行ったのですけれども、開幕戦は勝てたんですけど、その後5連敗して、ずんと落ちて、結局、何かをなんとなく乗り切らないとね。って言っている間に交流戦終わって、交流戦も全然勝てなくて「今年苦しいよね」って言ってたんですけど。オールスターぐらいのところから少しずつ、月で5割ぐらいの成績を残せるようになってきまして。最終的には、本当最後ですね、9月になんとなくですけどチーム自体が、タフになってきたというか、選手が「あれ強くなったな。」っていう印象がぐっと出てきて、そのままいったっていう感じだと思います。

柘植 今その、チームがタフになった、選手がタフになったっていう言葉が出たんですけど、どういうことなのですか?

田口 ゲームの中でも勿論そうなんですけども、その1試合が持つ意味だとか、次の試合に対しての、臨み方とか、そういったところが変わったと思います。例えば負けた後ですよね。そこに対してどう入っていくのかが大事なんですけど、いい入りかたができるようになったんですよね。

柘植 ほぉ~・・・入り方って?どこの「入る」ということですか?

(関連する質疑応答②)

田口 練習も含めてなんですけども、ゲームにどうやって入っていくか、審判がプレイボールを掛ける試合開始のところでどんな感じになるかというところをいつも僕は見ているんですね。これまで現役時代もコーチも含めて、いろんな強いチームにいたんで、勝つときの雰囲気ってあるんですよね。入り方とか、切り替え方とか、それが9月ぐらいに一気にみんな良くなってきたんですよ。ゲームの中での集中力も上がってきて、見てると、「あ~、この子たち成長したな~。どんどん今階段上がってるな~」っていうことがありましたね。

(関連する質疑応答③)

隙があったらレギュラーを狙え

柘植 あ~、なるほど。今この子たちっていう表現あったんですけど、例えば3人ぐらい、その中でもちょっと目立ったというか、象徴していそうな選手って、あえて挙げるとしたら、どのあたりの選手が、「いや~タフになったな~」とか、「切り替え方、入り方、集中力違うな~」って感じたられたのでしょう?

田口 ん~、レギュラークラスのみんなはやっぱりもちろん、上がってきてましたよね。杉本(裕太郎)にしても、福田(周平)にしても、中川(圭太)にしても、吉田正尚ももちろんそうですけども、その辺の選手たちの集中力が一気に上がってきたっていうところですね。控えの選手の"どっしり感"っていうのもありましたね。例えば小田(裕也)っていう選手がいるんですけども、この選手は基本的に代走と守備だけなんですよ。ただ、もう役割はわかってるんで、そこに出て行くときの雰囲気とか、「任せといてください」っていう雰囲気っていうのがすごく出てきて。そこに佐野皓大って足の速い子もいるんですけど、この子もつられて、少しずつそういう雰囲気が出ていましたね。その佐野皓大に関しては、まだまだこれからレギュラーも狙える選手なんで、そこに置いとくのは勿体ないんですけど。小田と2人ですごくいい仕事をしてくれてたので、その辺の控えの選手の安定感というか、"どっしり感"というか、そこはありましたね。

柘植 今、小田選手の話が出ましたけど。彼が1月から10月っていう中で、どの辺から、どんな刺激で、何が変わったかって、もし小田選手の立場になったとしたら、彼にとって変化を生み出した刺激って、いつぐらいの、何だったんでしょう?

田口 恐らくですけども、一昨年になりますか、勝ったっていうことから変わってきたと思うんですよね。その中で勝つチームにおいての自分の役割っていうことが、明確になってきてるので、そこに対して絶対必要な選手なんですよ。それをやっぱりちゃんと監督にも言ってもらってるし、そういうところから段々と、チームを勝たせるために自分が動いてるっていう自覚が出てきたのかなって。それが2年目になってくると段々明確になってくるのと同時に自信がついてくる。おそらくそういう感じで2年ぐらいかかって徐々にだと思います。少しずつ自信というか、そういうものが育ってきたところで最後にもう1回、優勝するかどうかギリギリの場所でやってるっていうことで、やりがいみたいなものが出てきたのかなと思いますよね。

柘植 これ、まさに田口さんのご担当っていう選手ってことですね?

田口 はい。僕の担当のところですね。どうしても最後の守備だけはきっちり守りたいので、そこはいつも監督にお願いして、守りをちゃんと固めましょうという話をさせてもらっていますね。

柘植 なるほど、それはもう当然、自信があるからこそ、監督に働きかけられるっていうことなのですよね?

田口 そうですね、チームの中で誰がうまいのかという判断をしながらですね。安定感はもちろん、あとは判断力も含めて守備に関しては彼が一番上、ということは監督も認めてるので。そこはおそらく小田自身も自覚を持ってやっていると思います。

(関連する質疑応答④)

本当に丁寧に一つ一つのプレーについて話をするのですね

柘植 なるほど。これ2年間かけて、みたいな表現もありましたけども、これは田口さんとしてはどんなことを意識して、小田選手に関わり続けてこられたんですか?

田口 僕は彼には常に「隙があったらレギュラーを狙え」っていう話はしてるんです。これはもう野球選手としては、絶対な部分なんですね。年齢がいくつになっても、その気持ちは絶対忘れちゃいけない部分なので、そこは言ってます。その一方で、彼の役割っていうのをちゃんと説明するようにしています。実際ほとんど話はしないんですけど、何かあったときには必ず直接「大丈夫か?」ってことも話しますし、2人で問題点を話し合うようにしていますね。絶対にこのチームで一番必要な選手だから。ということを彼にはいつも伝えてます。

柘植 なるほどいやそれは勇気湧きますよね。本人からしたら。問題点とかも2人で話すっていうこと差し支えない範囲で結構なんですけど、例えばどういうことを話すのですか?

田口 例えば守備位置の関係ですね。自分の隣に守っている選手との関係だとか、そういうところです。逆転されたりとか、ちょっとミスが起きたりということがあったときとかに、少し話をしたりします。この状況は隣の選手とはこんな話をしてとか、ボールを追いかけに行ったけど、向こうの状況がこうなったので僕はこう対処しましたとか。そんな話をして。勿論、もう一方の選手とも話をするんですけども、良かったことに関しても、あのプレー良かったねっていう話をして、何を考えていたか?とかっていうことまで含めて、一つ一つのプレーに対して、掘り下げて確認といいますか、そういうことですね。

柘植 それはどういうタイミングで話すのですか。

田口 話すときは大体そんなに大事ではないときですね。そういうことがあった次の日の練習中とかですね。すぐ解決しないといけないときは、そのゲームが終わってそのまま話に行くこともあります。選手のロッカーに行って「どうだった?」って聞くことと、次の対処法はこうだよね。どう思う?って。相手が納得すればそれで終わりですし、納得しなかったら、「じゃあもう1回ビデオ見てくるわ。」と言って、もう1回検証して、それで他の選手も関係があることだったら、その選手も含めて3人で話すとか、それぞれの選手と一対一でやるとかっていうことはしますね。

柘植 なるほど、うん、うん。そこはもうかなり具体的に1対1で、本当に丁寧に一つ一つのプレーについて話をするのですね。

田口 そうですね、基本的には1対1でやる方が、選手は喋りやすいと思います。チームメイトといえども、いろんな意見が出てくる。いろんな状況判断があるので、一つの打球に対してでも、右から追いかけるのと、左から追いかけるのでは状況判断が違うので。ランナーの見え方とかそんなことも違ってくるはずなんですよ。まず個人で聞いて、そのまま一方の意見を汲んで、もう一方の方に伝えるのか、それとも、最初から3人で話をするのかっていう選択肢は出てきます。

柘植 個人だけの技術じゃない場合は、その辺のどのタイミングで誰と話すか、みたいなところの工夫も必要になってくるってことなんですね。

田口 そこは、はい、あると思います。

柘植 ん~なるほど。ありがとうございます。

(関連する質疑応答⑤)

ドーンとマイナスに落ち込んでます

柘植 今ちょっと田口さんの関わり方みたいな話を伺ったのですけれど、もう1回先ほどの時間軸の方に戻らせて頂けたらと思うのですが。チームの話の流れから今、小田選手の話が出てきたのですが、一方で田口さんご自身は割とプラスのところでずっと安定している。そういう線が引かれてたと思うんですけれども、あえてこのプラスの中に、要素を書き込むとしたら、なぜプラスでい続けられたのか?こういうことを大事にできていたとか、こういう関わりができていたとか。3月、4月、5月、6月~10月までで表現としてはプラスのところで安定してらっしゃる、これをあえて要素分解するとしたら、同じものがずっ〜となのか、いやちょっとタイミングによってこのプラスを支えている要素は違うみたいなものがあるかどうかっていうのを、できれば、絞り出していただけたらと思うんですけど、例えばちょっとここに吹き出しみたいな感じででもいいので、この辺りはこういうこと、この辺りではこういうこととか、ちょっと書き込むとしたらどんなキーワードが出てくるかっていうのを、またちょっと2~3分取って頂いて結構ですので、少し言葉、文字にして何か吹き出し風でも、チームとして良くないときもこういれたとか?書き込んでいただけますか?

田口 これは、1ヶ月ごとのスパンで書いているじゃないすか。なので僕ずっとプラスの線になってるんですけど、おそらく、もっと細かく刻んで書くとしたら、試合後なんていうのが加わったら、おそらく月に1回、2回はドーンとマイナスに落ち込んでます。

柘植 そうなんですね。それはなんで落ちるのですか?

田口 例えばですよ、指示が伝わってなかったとか。最後の最後で、これで守れると思って指示したけども、サヨナラ負けしたとか。

柘植 なるほど、指示が伝わっていなかったとか、この守備でいけると思ったら、ひっくり返されたとか・・・

田口 はい、あとは監督も含めて、コーチ陣全員でゲームプランをいろいろ立てたりとか、選手に対してのアプローチっていうのも話をしてるんですけど、その選手の動きが非常に悪かったとか、そういったところでガクンとマイナスにいくことはありましたね。ただ、次の日は元気に出社してるんで(笑)

柘植 すごいですね(笑)

田口 なのでずっと真っすぐのプラスなのは、「今日も頑張ろうぜ!」って、いけてたので、ずっとプラスに書いちゃっているっていう感じですね。(笑)

柘植 なるほどですね、何日も引きずるっていうことはなく、翌日切り替えて、臨めてたっていうことなんですか?

田口 そうですね、切り替えないといけない部分なんですね、多分。プロ野球って毎日試合があるんで、そこはやるしかないし、行くしかないし、まあ慣れてる部分と言えば慣れてる部分ですけど。あとは、もう自分が動けないもどかしさもあるんですけどね。

柘植 どういうことですか?

田口 選手ではないので、選手がやるのを全部見てるわけですよね。いろんな話をして、いろんなことを準備して、あとは選手にやってくださいっていうだけなので、思い描いた通りにはいかないじゃないですか。その辺のもどかしさというか、自分が動けないっていうところ、言ってみたらもう人任せですよね。人の結果によっていろんなものを感じる立場ですから、その辺のもどかしさっていうのはありますね。どうやったらうまくいくんだろうかっていう。

自覚っていうものが助けてくれるんじゃないかなとは思いますが

柘植 それから、ゲームプランに対して、そのスタッフミーティングの中で、アイデアだったりを出しても、うまくいかないと、そんなうまくいかない確率を、ほんの少しでも下げるために、こういうことをもうちょっとだけ、今まで以上に工夫すると、少しだけでも良くなると。今のパーセンテージが何十%ぐらいだとしたら、それを5%でも10%でも、狙っていたプラン通り、選手が動いてくれる確率をちょっとでも高めるためのポイントになりそうなことってあるでしょうか?例えば、去年からの学びとして今年ちょっとプラスアルファこんな工夫しても、いいかもしれない。みたいなアイデアあったりしますか?。

田口 んー去年からのプラスアルファでいくと、僕は外野手担当なので、吉田正尚が抜けたので、そこをみんなで埋めようという方向で行くっていうのはありかなと。つまり、いろんな選手にチャンスも出てくるので、そこはおそらく、みんなで奪い合いにもなるでしょうし、それによって切磋琢磨で良くなることっていうのは絶対あると思うんですよね。その中でレギュラー陣だった杉本とか福田とか、という選手たちがもう一皮、おそらく剥けてくれると思うんで。彼らに引っ張ってもらえれば、またいい刺激にはなるかなと。僕がいろんなこと言うよりも彼らの自覚っていうものが助けてくれるんじゃないかなとは思いますが、自覚はもうしてると思うんで、その部分がどれぐらいあるのかっていうのは見てみたいですね。

【登場人物】についての深堀り

柘植 またちょっと新しい動きが起きる可能性が選手の入れ替えでもあるんですね。今選手の話が出てきたので、ちょっと去年の振り返りにあまり限定しないで、今度は登場人物の話を伺えたらと思うんですけど。先ほど事前に選手70人、コーチ陣10人で、スタッフ一軍、二軍合わせると、全体で100弱ぐらいは登場人物がいるっていう話ですが、田口さんが、割と濃く関わるスタッフとか選手は何人ぐらいになりますか?

田口 スタッフだとすると、、、6人ぐらいですかね。選手でいうと、走塁も見るので基本的に野手は全員になります。大体、15、6人は常に一軍にいるので、15、16、17人くらいだと思います。

柘植 入れ替えは当然あったと思うんですけど、どっかの時点の、ぱっと思いつきで、直感で結構ですので、大体、秋口の、あの辺のタイミング、とかっていうとこで、抽出していただけたらと思うんですけど。また別の紙に、これ、田口さんのあまり好みじゃないかもしれないですけど、ちょっと田口さんを真ん中に書いて頂いて、周りにですね、具体的な名前、勿論、問題がありそうだったら僕らは見なくても大丈夫なので、一旦、紙にちょっと登場人物を、22、3人になるのですかね?かなり濃いスタッフ6人と、選手、15~6人。ちょっと自身の周りに、少し人間の絵っぽい感じで書いて頂けますでしょうか?

(※1分ぐらいで書いてもらった)

何でも言わせてくれる監督なんで

柘植 田口さんご自身がわかれば結構ですので、もう呼び名とか正式なお名前とかじゃなくても結構です。

田口 大きく考えるとこんなもんかな~。外野手も色々と入れ替えもありましたし。

柘植 じゃ、外野手の方をちょっと選んでっていう感じですかね?うん、今、選手何人ぐらい書かれました?

田口 今6人、ですね。

柘植 選手で6人、でスタッフの方は?

田口 スタッフは6人ですね。

柘植 6人。これも田口さんなりの解釈で結構ですので、どれぐらい、、、いいコミュニケーションが取れたか?その度合いを10点満点でそれぞれの人のところに記入していって頂きたいんですよ。10分の何、10分の何、これは頻度とかっていう話じゃないかもしれないので、田口さんなりに、結構いいコミュニケーションが取れてたんじゃないかなっていう主観的に10点満点で。

田口 10点満点ですよね?監督コーチに関しては僕は10点ですね。多分。取れてると思うんです。なんでも言わせてくれる監督なんで。

柘植 それ素晴らしいですね。

田口 はい、選手に関しては、うーーーーーん。選手に関しては。。。こんな感じかな。

柘植 今、その6人取り上げてくださった選手っていうのは、今年、全員残っているわけではない?

田口 一応6人を挙げたのは、名前言っていいですか?これ言っても大丈夫なんで。

柘植 お願いします。

田口 小田、福田、杉本、吉田正尚、佐野皓大、中川圭太ですね。

柘植 これで点数それぞれつきました。で、新たに来る選手は?

田口 新たに来る選手はドラフトで1人外野手が入ってきました。あとは若い選手のところですが、そこは競争になってくると思います。

柘植 なるほどなるほど。で、点数をつけて頂いて、今年はこれぐらいの点数、例えば来年の今日同じようなシチュエーションで振り返りをさせて頂いたとして、これぐらいの点数に持っていきたいなみたいなのを現状の点数から矢印を付けて、ちょっと数字を変えて頂けると。去年こんな感じだった。今年はこんなふうに持ってけるといいなぁ。というのを、去年の点数の横にですね、矢印で新たな数字を、現状維持でも、もちろんいいとは思うんですけども。理想論ではなく、ちょっとリアルも含めて、これぐらいいけるとよさそうだな。

要素分解するとしたら

田口 そうですね。こんな感じかな。

柘植 何かその数値を変えた理由とか、ポイントみたいなものでお話して頂けそうなものがあれば教えて頂きたいのですが。

田口 全体的な伸びしろがあるかな。っていうところなのでそこが伸びればいいかな。とは思ってます。ただ、元々の点数が低いコミュニケーションの部分で佐野皓大なんですよね。彼に対しては、もうちょっとコミュニケーションをなんとか取って、できたらレギュラーを狙わせたい。っていうところがあるんですね。もしくは、確固とした自分の立場を作ってあげたい。っていう思いはあります。小田という選手がいて、走れる、守れる。ところではすごく後ろにいてくれて助かるんですけども、彼の次に誰が来るんだ、っていうことになると、なかなかいないんですよね。勝ちゲームを運んでいく上で、すごく大事な部分ではあるので最低限その小田の後を継げる。うまくいったらレギュラーも獲れる。っていうところまで何とか話をしながら、彼もやる気にはなってるので、何とかしたいなと思います。

柘植 この辺は結構鍵になりそうな感じなんですね。

田口 そうですね、それプラスあとは結構二軍の方で今若い選手が頑張ってるので、そこから吉田正尚の穴を埋める選手で出てほしい。1人では埋まらないんですけども、一応、レフトが空いてるので、誰が獲るのか?っていうところですね。

柘植 これ、かなり自分の興味になっちゃうんですけど、吉田選手が持っていた要素をちょっと分解していただくとしたら、どんなところが優れてる、とか。彼を真ん中に書いて、こういう要素がやっぱりあったよな、1人では埋められないけれども、複数で埋めるとしたらっていう何かヒントになればな、と思うのですが、彼が持っていたこの素晴らしいものって、ちょっと要素分解するとしたらどんなものが挙げられるかって、書いていただくことできますかね。

田口 はい、でも要素としてはもちろん打つことがずば抜けてるんで。打率打点、それから得点っていう部分、出塁率というところも出てきますよね。守備に関しては、そこまでズバ抜けては上手くなかったのですが、よく練習するんですよ。守備に対しても興味を持っていて、よく練習するし、よく投げるんですね。その取り組み方は、あそこまでいってきっちりやってる選手は、なかなかいなかったので、そこの部分ですね。これは僕は守備コーチとして誰かが率先して、それぐらい興味を持ってくれたらいいなとは思いますね。

柘植 今もう既に言葉としては出てはいるんですけど、一旦敢えて今言ってくださったことを見える化して頂いてもいいですか。

柘植 改めて書き出して頂きましたけども、何か1人では埋められない。っていう言い方をされてましたけれども、やっぱり彼が抜けたところっていうのは、こういうところを意識して取り組んでいくことによって、要素を埋めていけるかもしれない何かポイントがあるとしたらどんなところですかね。

田口 ここの穴を埋めるのは基本的には攻撃的な部分が大きいですよね。守備に関してはやっぱりみんながその意識を持ってほしい。っていうのはあります。攻撃のところに関しては、僕が言えるのはもう走塁だけなんですよね。そこの部分で、一昨年よりも昨年、昨年より少しでも今年と、毎年少しずつでも改善していけば多少は得点力が上がったりとかいうことが出てくるかなとは思います。

この1個を削るだけでもチームとしては全然変わってくる

柘植 これもう全くど素人なんですけど走塁を少しでも去年より今年、今年よりもってどういう取り組みがそれを下支えしてくれるんですか。

田口 これはもう本当にちょっとした意識だけだと思うんで、それをどれだけ植え付けられるかっていうことですね。

柘植 このちょっとした意識っていうのは例えば一つ具体的に言うとどういう時のどういう意識になるんですか。

田口 例えばですけども、一塁を駆け抜けた後に、ボールがそれてるかどうか、自分の右側を確認する。あとは、ヒットを打った後に、ベースの角を踏むとか。

柘植 これも逆に言えば、その意識がまだ低い選手もいるっていうことですか。

田口 そうですね、意識はあるんです。意識はあるんですけども、そこの見るというか、踏むタイミングと打球をどうしても見ちゃうとか。っていうことがあるので、難しいのは、これを無意識化してあげないと、なかなかできない部分だと思うんですね。そのベースを踏むことに関しては、ベースを踏む位置を見ないといけないんで。じゃないと正確な場所は感覚だけではいかないんで。それを無意識化してすぐボールを見る。っていうことって大事なんですよね。ですからさっきの駆け抜けた後に自分の右側、ファールグランドの方ですよね、ボールが転がってないかどうかを見る。これも、意識的じゃなくて無意識に見ないとって思いますね。こういうことができるかどうか。

柘植 これ僕らはその「無意識的無能」から、「無意識的有能」までの4段階でこう整理することがあるんですけど、①「無意識的無能」っていうのは、「知らないからできない。」っていう状態。②「有意識的無能」が次の段階で、「知ってるんだけど、まだできない。」やったらいいっていうのはわかるんだけど、ちゃんとやれない状態。で次が③「有意識的有能」は、「意識すればできる。」さらに「意識しなくてもできる」④「無意識的有能」っていう、多分今、無意識にできるっていうのが、その最終形のことをおっしゃってるのかなっていうふうに思ったんですけど、そこに行くためには、どういうポイントがあるかを知る。でもまだできない。知って意識すればできる。意識しなくてもやっている。っていうそんな状態っていうのもよく選手の技術サポートのときとかに、やったりするんですけど、これが、しっくりくるかどうかは別だと思うんですけど、キャンプが始まる中で、ちょっと今年こういう工夫してもいいかもしれないな〜走塁に関してっていうところ。既にいろんな取り組みをされてると思うんですけど、何かワンエッセンス、追加するとしたら、ちょっとこういうタイミングで、こういうのをやってもいいかもしれないな、なんていうアイデアはないですか?

田口 今、練習の時にみんなで一回ビデオを撮ってみてもいいかな。っていう話にはなってるんですね。いろんな角度からビデオは撮れば、見える部分っていうのはあるはずなので。(シーズン中は)撮っていい範囲が決まっているので、それでシーズン中はそれを見ながら、やってるんですけども、いまいち見えてこない部分もあるので、そこは「やってみようか」っていう話には今、なろうとしてますね。

柘植 これはもうキャンプからやるってことですか?試合でってことですか?

田口 キャンプからやってみてどうなるかな?っていう感じですね。

柘植 すごくざっくりと一軍で試合に出るぐらいの選手で、先ほどはボールがそれてないかどうかっていうことと、ベースの踏む位置っていう。二つのことが出てきましたけど、それぞれ違うかもしれないですけど、何人中何人ぐらいはある程度できてる。っていう感じですか?ざっくり言うと。

田口 7割方はできていると思います。でも、ボールの確認というのはなかなかないですね。その辺は、ほとんど起きないプレーなので、、、なので実際は駆け抜ける前に自分の目の前でファーストが取ってアウトになっています。なのでそこを確認するまでもなく、自分はアウトです、みたいなところもありますし。でも、去年1個事例があったんですね。それてるにもかかわらず、気づかずにセカンドへ行けませんでした。っていうのがあったんです。そのたった1個をなくしたい。ていう、ところもあるんで。多分、この1個を削るだけでもチームとしては全然変わってくると思います。

大チャンスだと思いますね

柘植 そこの本当に細かい一つのこだわりっていうところを、選手が皆、無意識的にできるようにしていく。っていうところですね。なるほどです。ありがとうございます。今、吉田選手の話から分解をして頂きました。僕の興味の範囲で時間軸の振り返りだったり、登場人物の話だったり、もしくは、今年ちょっとここは新たにブレイクしてほしいみたいな選手の話だったり、走塁についてだったりとかっていうのを聞かせて頂いたんですけど、ここまでいろいろ言葉にして頂いたり、書いて頂いた中で、やっぱりここ結構大事だな。とかですね、改めて去年の振り返りの中での整理だったり、今年、こんなところをちょっと意識していくと良さそうだな。みたいなポイントを挙げるとしたらどんなところになりますかね?

田口 おそらく、僕の感覚ではいい感じで積み重なってきてるとは思うんです。これで吉田正尚が抜けたので、これをみんながチャンスと捉えて、さらにブラッシュアップしていけたらいいなとは思いますね。イメージとしてはそんなイメージです。走塁に関しても、守備に関してもなんですけど、抜けた部分をみんなでどうしようかっていうところで考えてもらえれば、この2年間積み上げてきたものが、見えてくるんじゃないかなとは思いますね。

柘植 そういう意味では、ある意味チャンスでもあるっていう感じなんですか?

田口 大チャンスだと思いますね。

柘植 今年それを凄く楽しみに見させていただきたいなって今、個人的に感じました。ここまでいろいろ聞かせて頂きましたけども、ざっくり振り返りができたらいいなって言ってくださったんですけど、何かもうちょっとこういうところを話してみたいとか、この辺少し言葉にしてみたいとか、何かあったりしますか?振り返りでもいいですし、今年のイメージ作りでも結構ですけど。

田口 今年のイメージ作りですけども、こうやって話をしてると、チャンスやなと改めて思いますね。僕のチャンスじゃないですけども、選手にとっては1人抜けたことによって、いい刺激になってるのかなと思うので、キャンプに入るのが楽しみです。

柘植 これはあれですね、なかなかちょっと外からはわからないというか、いやあ、抜けたとこどうすんですか?みたいなふうにいきがちなところなのかななんて思ったりもしますけど。

田口 いやおそらく監督はそうなってると思いますよ(笑)そこはやっぱりチームの軸は抜けているので、「さあ、どうしよう?」ってなってると思いますけども、選手たちはポジション1個空いてるので、そこに対しての執着心といいますか、そういうのがどれぐらいあるかっていうものは見られるはずです。先日も、ちょっと練習をちらっと見に行って、正尚の抜けた穴を、狙ってる選手たちが何人かいて、結構元気だったんですよ。それ見て面白いなと(笑)

柘植 いや~、すごく楽しみに今シーズンを拝見したいと思います。結構いろいろお話聞かせて頂いたので、この辺りで他のメンバーにもちょっと加わって頂いて、ちょっと違う切り口での質問とかもさせて頂けるといいかなと思うんですけど、一旦この辺りで切らせて頂いてもよろしいですか。ありがとうございました。

スッキリ野球に行けそう

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レモン はい、あっという間に時間が来てしまいましたが、まずヨウさん、いかがでしたか?今日は?

柘植 いや本当に僕がすごく聞きたいことをですね、どんどんと矢継ぎ早に聞かせていただいたっていう感じなんですけども、やっぱり、なんだろう、深いところを知れるとやっぱり応援したくなるし、好きになるし、っていうところを改めて感じてですね、言える話、言えない話たくさんあるとは思うんですけど、やっぱり目に見えるところだけじゃないところの話を、ストーリーを知れることってすごい素敵なことだなって、やっぱりそこはスポーツの面白さの一つでもあるなあって改めて思いました。というのと、最後に田口さんにあの、一言だけ頂けたらと思ったのは、おそらく結果としてはもう日本一取ってしまったので、今年、昨年以上にこんなものが実現して日本一!っていう何かその中身の部分で、さらにこういうチームになっていけてたら満足だなあみたいなのは、いかがですかね。

田口 中身の部分は、ずっと言ってますけど、吉田正尚が抜けた部分を「みんなでカバーしたよね」っていう部分が出てくると、選手個々の視野が一気に広がったような感じになると思うので。そこが欲しいですね。

柘植 なるほど。何か、もし来年も聞かせていただけるようであれば、ぜひその辺のところをお話伺いたいなと思います。ありがとうございます。

レモン はい、ということで皆さん、まだまだ聞きたいこともあったかもわかりませんが、壮ちゃどうでしたか?

田口 ええ、楽しかったです。1月はずっと、どうやったらゴルフ上手くなるかなって考えてたのが、一気に野球の頭となっていました。(笑)振り返りを柘植先生にしていただいて、しっかり思い出して、次に向けて何をすんねんっていうことまでちゃんと引き出していただいて、もうスッキリ野球に行けそうです。

レモン それはよかった〜。最幸!です!来年もよかったら宜しくお願いします。

田口 はい、是非!是非!

質疑応答①なおやさん

昨年の日本シリーズ第2戦、9回裏、3ランホームランを打たれて、まさかの同点で、それでも延長戦引き分けで終わったんですけど、同点に追いつかれた時、どういうことがベンチで起こってたいたのでしょうか?

田口 確かに打たれた瞬間は〜もう大ショック。っていう感じはありましたね、ベンチの中は。ただ、そこから意外とみんな立ち直りが早かったような気がしますよね。なんか今までやったらズルズルズルズルいってたような感じなんですけど、ピッチャー陣はすごい結束力があったので、あべが打たれたら、あと抑えたるわ。というぐらいの感じでみんな言ってましたから。ピッチャー陣はもう絶対点やらんぞ!っていう雰囲気にはすぐなってましたね。野手の方も、「なんやねん?」っていうふうにはならなかったですね。「うわー、やられた」ってなって、でも同点やしっ、て感じで、めちゃくゃ苦しかったですけど、終わった後も、勝てんかったのは痛いけどでも負けてないもんね。っていう話にはなってました。

ベンチで田口さん含めてコーチ陣は、特に選手に何か言わずに、選手同士がもうそんな雰囲気になったんでしょうか?

田口 そうですね。基本的に僕たちは何も言わないです。監督は個人で声をかけたりとかっていうのはありますけど。僕ができることっていうのは、普通に声を出していくっていう、いつものようにです。何にも変わってないよって。さあ行くよっていうだけで、僕、常にベンチで声を出してるので。

それはやっぱり優勝を迎えるまでに、シーズンを通して、1年間の中で気持ちが一つになっていってたっていうことなんすかね?

田口 おっしゃる通りだと思います。9月に1回、ソフトバンクに3連勝してるんですけど、あのあたりぐらいからみんなタフになってるんですよね。取らないといけないゲーム取れる。みたいなチームになってきたなって僕は感じてたので。

質疑応答②ゆーすけさん

例えば野球で言うと、球場入ったとき、今日は駄目かもとか、バッターボックスに入ったときに、このピッチャー打てないかも、そんなご経験はありますか?また、そんな場合、現役のときにどうされたのか? あとコーチとしては、どんなアドバイスをするのか?

田口 僕個人としては、球場に行って、今日駄目かもっていうことはなかったかなぁ。ただ、バッターボックスに立って、球みて、これは手も足も出ないぞ。っていうのがありました。そこは自分の中でできる限りのことは打席の中で試して、何かヒントだけは得ようという感じですね。ただ三振して帰るっていう、同じスイングを3回して帰るよりは、1回振ってみて、あれこれちょっと無理だなと思ったときには、例えば、単純な話バットをちょっと短く持つとか、打席の位置を変えてみたり、待ち球を変えてみたり、でも待ち球変えても来ないときもあるんで、そこはそこで割り切っていかないといけないんですけども、その3球の中でできることはやっていって、情報だけは集める。そして次の対戦にどう備えるか、ていうことは考えますね。あとはもう次回対戦で当たらないようにって願う!(笑)それから、コーチとしては、今の子たちって、必ず見た目で言ってもあんまり納得してくれないので、一緒にビデオ見ながら、「どう思う?」という話をして、その中で提案をしていく。「こうしてみたらどうだろうか?」とか、「こんな気持ちで行ったらどうなるか?」とか。何かヒントを一つ二つ与えて、次、臨んでみる。できればそれでOKですし、できなかったらまた次を考える。ということしか僕たちコーチができないんですよね。なので、一番大事なのはしっかり見ておいてあげる。ていうことですかね。普段からどういう取り組みをしているとか見といてあげて、できる提案をする。アドバイスをするより、提案ですね。それで選手が変わっていく、もしくはいい方向にいってくれれば、とは思いますね。

質疑応答③ひろさん

佐々木朗希投手に完全試合をやられてしまったときのことなんですが。さっき試合の入り方とか、負けた後の試合の入り方っていうことで、実際にあの完全試合の時は、そういう良くない何かがあったのか?また、実際に完全試合になった後、次の切り替えの時に、何かコーチ陣や、選手間ではどうしていたのか?また、もし田口さんが今、現役で佐々木投手と対決するならどう攻略するのか?

田口 ちょうどあの頃うちのチーム、コロナで何人か選手が抜けてた。ただパーフェクト(完全試合)されるとは思ってないですし、いいピッチャーだっていうことはわかっているんですけども、あの日に限っては、僕、一塁コーチャーボックスの中から見てて、早かったです!とにかく。球は速いし、変化球切れてるし、うわーって思ってたら、何もできずに終わったので、でも、あれだけのピッチングされたら仕方がないかなとは思いますね。だから選手を責めることもできないとは思います。ただ、僕の気持ちの中でノーヒットノーランやパーフェクトは、今までなかったんですけども、ノーヒット、ノーランされるっていうのは、まったくもって嫌なことではなくて、むしろ僕の中ではいい兆候なんですね。96年に1回、渡辺久信さんにノーヒット、ノーランやられたのかな。そういうこともあって、ノーヒット、ノーランされた年っていうのはいいことがある。みたいな、そんな感じがあるので1回、2回ぐらいはいいかなっていう、それが続くとまずいですけど、あれだけのピッチングされたらどうしようもないし、むしろ選手もある程度、割り切れるのかなとは思います。ただ、面白かったのは、あのゲームの後にバスで仙台に移動する予定だったんですね。それで選手がコロナでいなくなって、仙台の試合は3試合中止になりました。つきましては、大阪に戻ります。ってことになったんすけど、その時にバスの中で食べる弁当のご飯が、なぜか紅白の赤飯と白ご飯が両方あったんすよ。本当に偶然ですよ。それを僕らは見て「うわーっ」てなって、めでたくとも何ともないのに、紅白やなって言って、そのご飯を食べながらホテルへ行きました。でも、結果優勝したんですよね。そんな不思議なことがありました(笑)それから、もし僕が現役だったらどうかな~。でもとりあえず1打席目すぐ打ちに入って、駄目だったら、変化球を投げさせるように仕向けます。で、狙っていく。っていう作戦にはなると思いますけど、ただ打てるとは思わないです。はい(笑)

質疑応答④やかべっち

小田選手を一言で言うと、どういった表現になりますか?

田口 小田選手に関してはしっかり守っていく、勝ち切る野球をするにあたっては、僕の中では絶対必要な選手だと思ってるし、「彼が頑張ってくれる。頑張れるチーム」っていうのが強いチーム。だと思ってます。その中で控えとかをやってた経験もあって、おそらく彼の場合は、打席にもそんなには立たないですし、「代走だけ」という日もあるし、「守りだけ」して、打球は飛んでこない。っていう日もあるんです。でも、そのチームの中では、絶対欠かせない1人だし、パートの一部なので一つでも欠けてはいけない。っていう意識ですし、僕自身、アメリカでもそうでしたし、オリックスへ戻ってきてからもそうでしたけども、ベンチからスタートしたので、そういう話をフィラデルフィアにいるときに、GMからしてもらったり、レギュラーではない選手、言ってみれば一番最後に出ていく選手がしっかりしているチームって、僕は絶対強いと思ってるんで、その気持ちをやっぱり小田選手には持って欲しいんで、どうしても彼は僕は気になってしまう選手ですね。

質疑応答⑤サムさん

昨年、他のスポーツの指導者の言葉が聞きたい。って言われてたんですが、なんかこの1年で他のスポーツの指導者の使ってる言葉で印象に残ってる言葉ってありますか?

田口 先日、関学、関西学院大学、僕出身なんですけども、アメリカンフットボール部の監督と、食事をしまして、ずっとアマチュアスポーツで今、関学1強時代と言われてるんですけど、その中で彼が何をやってるか?っていう話をずっと聞いてたんです。関西学院大学アメリカンフットボール部は何を目指して、どういう学生になっていくのか?っていうことを、ちゃんと目標に掲げて、そこに向かって全員が進んでる。っていうことを聞いて、更に、200人ぐらい部員がいるんですけども、監督はその1人1人とちゃんとミーティングを1時間ぐらいずつするって言ったんですね。200人全員と。その中でチームをどう組み立てるか?っていうことをやる。っていう話を聞いて、やっぱり一人一人理解してあげないといけないんだと、すごくそうだよねって感心させられ、強い理由がわかるなって感じましたね。

例えばそんなところからオリックスに落とし込みたい。さらにオリックスをレベルアップする要素って何かありそうですか。

田口 これはオリックスだけに限らない気はします。やっぱりアメリカンフットボールを続ける子って、そんなに多くないですよね。だから、彼らは、社会に出て、関学のアメリカンフットボール部出身で、恥ずかしくない社会人になる。っていうところはあると思うんですね。送り出す方にしても、関学のアメリカンフットボールから出てきた選手は、しっかりしてます。いろんな意味で、仕事だけではなく、礼儀とか、そういうことも含めて、やっぱりちゃんと設定している。これはどこにでも当てはまると思うんですけども、特にプロ野球とか、若くして引退していくことを考えて、いわゆる人間形成は大事になってくるので、そこはプロ野球としても、学生のようにはなかなかできないと思うんですが、目配りができたりとか、気配りができたり、っていうところも含めて、何気なく教育することができればっていう思いはありますね。

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